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浮上油回収装置には、いくつかの種類にわけられます。それぞれのタイプによって、回収できるものや導入先などが異なりますから、自社に適しているかを確認したうえで検討しましょう。
一般的に浮上油回収装置といえば、オイルスキマーのことを指す場合が多いです。クーラント液中でベルトやディスクなどを回転させ、ベルトやディスクに付着した浮上油を回収するというのが、主なしくみです。
浮上スカムや薄い油膜などの回収にも対応でき、自動車メーカーや工作機械メーカーをはじめ各種加工工場で導入されています。なお、装置自体が大きく設置場所を検討する必要があるほか、比重差分離タンクがセットの場合は設置場所も必要です。
オイルスキマーのなかでも最も代表的なのが、ベルト式です。ベルト式では回転するベルトを貯留槽の中に入れ、ベルトに付着した油分を別のタンクへと排出する仕組みになっています。
ベルトに使われる材質にはさまざまな種類があり、浄化・回収対象の液体や油分の性質によって使い分けるのが特徴です。材質としてはステンレスやスチールをはじめ、油が回収しやすいように表面加工された樹脂や油分を吸着する性能を持つ複合樹脂などがあげられます。
材質にステンレスやスチールが使用される理由としては、油が金属にくっつきやすいという性質を持つため。その性質を利用してベルトに油分を付着させることで、浮上油の回収を実現しています。
ベルト式が回転するベルトを貯留槽の中に入れるのに対し、円盤式では回転する円盤を貯留槽の中に入れ、付着した油分を拭い取って油分を回収する仕組みになっています。
ベルト式よりも浮上油を多く回収でき、優れた耐久性を持つのが特徴。また、簡素な構造のため、
らせん構造をした特殊なスクリューを浄化対象の液体に浸し、スクリューを回転させながら油分を少しずつ巻き上げて回収するタイプのオイルスキマーです。
スクリュー式では水溶液と油分の粘度の差を利用しており、粘度の大きい油分だけをスクリューに巻き込んで回収する仕組みになっています。そのため、油が付着しないと回収できないベルト式に比べ、高い回収能力を期待できるのが特徴です。また、比重差分離タンクが不要で、狭いスペースに設置しやすい点もスクリュー式ならではのメリットと言えるでしょう。
ただし、固形異物の多い液体だと、切削粉やスラッジなども巻き取って装置を破損させてしまうことも。また、低粘度の油だとうまく回収できないので、液体や油分の性質によっては優れた回収能力を発揮できない可能性があります。
フロート方式は、クーラントタンク内にブイのような形状をしたフロートを浮かべ、液面の浮上油を吸い上げる方式。回収した浮上油はチューブでつながっている分離機に送られます。
コンパクトなサイズの製品が多く、狭いタンクやオイルスキマーが設置できない場所でも使用することが可能。また、液面が上下に変動しても自動で追従する装置もあり、回収効率を高められる点も特徴のひとつです。
タンク内から回収した液体には、浮上油だけでなくクーラント液も多く含まれます。タンク内から回収したの液体を遠心力で分離するのが遠心分離機。分離後、使用できるクーラント液はタンク内に戻され、浮上油は廃棄用タンクに移されます。
遠心分離機は主に、研削液などの加工液や洗浄液のほか、焼入液、塗装ブースの水などに使用されます。キャスター付きで移動できるコンパクトな装置もあり、場所の取りにくい環境でも導入できます。
上記で紹介した種類のほかにも、各メーカーがオリジナルで開発した特許技術などを採用している浮上油回収装置もあります。
浮上油回収装置は、回収するしくみによって、装置のサイズや設置場所などが異なることがあります。特に設置場所は、実際に浮上油回収装置を設置するスペースを確保できるかを確認する意味でも、デモ機などを貸し出してもらいチェックすると安心です。
メーカーによっては、デモ機によるテスト運用ができるサービスを展開しているところもありますので、相談してみましょう。
悪臭や機械停止などのお悩みは、浮上油だけが原因ではないことも。
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浮上油回収に必要な機能を備えた小型仕様。
狭いスペースでも収納が可能