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浮上油回収装置によって回収される浮上油とは、どのようなモノなのでしょうか。浮上油が工場環境にもたらす問題点についても解説します。
浮上油とは、工作機械を使用する際に生じる油で、潤滑油や作動油、防錆油、不水溶性切削油、グリースといった油を総称した言葉です。
潤滑油の工作機械を使用したときに生じる油は、工作機械からクーラントタンクに流れ落ちて液面に漂います。
また、加工時に発生する微細なスラッジに油が付着したものもあわせて、浮上油とよばれることもあります。
機械のモーターや歯車などを効率良く動かすための機械オイルには、低粘度油と高粘度油があります。粘度とは物質の粘りのことで、低粘度油はサラサラとして流れやすく、高粘度油はドロドロとして流れにくいのが特徴です。機械オイルの粘度指数は国際規格であるISO VGで表示され、VGの後に続く数字が大きいほど高粘度の油ということになります。
高粘度の油として代表的なのがチェンソー用機械オイルで、粘度指数はISO VG100程度。チェンソー用機械オイルが高粘度な理由は、熱を持ったチェンソーのバーやチェーンにしっかりと付着するためです。粘度が合っていないと潤滑が適切に行われないため、対象の機械が指定する粘度に合わせて機械オイルを選ぶようにしましょう。
植物性・動物性の油はどちらかというと食用としてのイメージが強く、機械の潤滑油として使用される油といえば石油系潤滑油が大半を占めているのが現状です。一方で、食の安全への関心が高まっていることから、食品機械用潤滑油においては、万が一商品に混入しても健康に極力影響を与えない植物性・動物性の油が注目されています。
また、近年植物油のパーム油の用途開発が大きな動きを見せており、将来的にはパーム油の有効利用が潤滑油の分野で重要なウェイトを持つといった見方もあり。さらに潤滑油の分野でも環境保全がテーマとしてクローズアップされてきているため、石油系潤滑油から植物性・動物性の油へとニーズが移行していくかもしれません。
鉱物油と呼ばれていますが、実際は石油から得られる油のことで、鉱物でできているわけではありません。また、潤滑油の性能を決めるベースオイルの1つで、各種添加剤を加えて調合することで高性能の潤滑油になります。
鉱物油は安価なものが多く、購入しやすいのが利点です。ただ、熱や外気などで酸化しやすいため、パフォーマンスを維持するためには定期的に新しいものへと交換する必要があります。鉱物油の使用例としては、ギアオイルや油圧作動油、エンジンオイルなどがあげられます。
水中に含まれる油分の量を示すノルマルヘキサン抽出物質。ある特定の物質名をさすのではなく、ヘキサンによって抽出された不揮発性物質のことを意味しています。
ヘキサンから抽出される油分には、動植物油脂のほかにも脂肪酸や脂肪酸エステル、リン脂質、ワックスグリース、界面活性剤や染料なども含まれます。そのため「pH4以下でヘキサンによって抽出される、80℃付近で揮散しない物質」をノルマルヘキサン抽出物質と定量しています。
水質汚濁防止法や下水道法では排水に含まれるノルマルヘキサン抽出物質量に基準を設けています。
とくに排水の微生物処理で困難とされている鉱油類は1リットルあたり5mg以下と厳しく定められています。なお、各分類にどんな油分が該当するのかは明記されていませんが、たとえば動植物から得られる食用油は動植物油脂類、石油から得られた潤滑油などは鉱油類と考えられます。
浮上油が生じるのは、切削加工機やマシニングセンタといった工作機械を使って製品をつくるメーカー(工場)です。
具体的には、自動車や二輪車などの部品メーカー、工作機械のメーカー、航空機の部品メーカー、半導体や電子部品のメーカーなどが代表的なところです。
浮上油を定期的に回収しないと、次のような問題を引き起こす原因につながります。
浮上油がもたらす代表的な問題が「悪臭」です。工場内に充満する不快なニオイの正体は、浮上油が嫌気性バクテリアを増殖させ、増えたバクテリアから生じる硫化ガスが一因だといわれます。
浮上油が臭いの原因であれば、浮上油を回収することで臭いを軽減できるでしょう。
また、浮上油は加工熱などによって油煙(オイルミスト)の一因に。浮上油が工場内に飛散されると、工作機械のベタツキや機械の故障、刃物など部品の摩耗といったトラブルにつながり、さらには加工不良によって製品の品質に影響を与えるリスクもあります。
参照元:株式会社東産業(https://www.azuma-mie.co.jp/column/n-hexane-extract/)
引用元:株式会社東産業(https://www.azuma-mie.co.jp/column/n-hexane-extract/)
切削加工など行う加工メーカーにおいて浮上油は必ず生じるもの。工場環境を清潔に保つには定期的な更液(クーラント液の交換)が必要です。
また、槽内(タンク内)の定期的な掃除や浮上油回収装置の導入によって、悪臭対策やクーラント液のロングライフ化を実現するほか、工作機械のメンテナンス経費を軽減することにもつながるでしょう。
人の手で行うことも一つの解決方法ですが、毎回クーラント液などのメンテナンスが大変と感じている場合は機械で行うことも検討するのも一つの策です。
このページは次のサイトを参考にしました。
参照元:永進テクノ(http://www.eishin.info/)
参照元:サンテクノロジー(https://www.santech.co.jp/FOS-e/impact)
参照元:産機テクノス(https://www.sanki-technos.co.jp/ecommore/yusuibunri-sludge)
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